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Beauty Source キレイの魔法

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恋愛セミナー35【若菜上】

第三十四帖  <若菜 上―2  わかな >  あらすじ

朱雀院は西山の寺に入るため、俗世とはきっぱりと縁を切ることになるので、
女三宮のことを源氏にいま一度頼み、紫の上にも特別に文を託します。
「幼い宮を許してやって下さい。山で修業をするのに子への思いを断ち切れないでいるのです。」
「どうぞ無理に思いを止めようとはなさらないように。」と紫の上は返歌します。
その歌の文字の見事さに、朱雀院は女三宮がさぞ見劣りしているだろうとやるせなく思うのでした。

朧月夜は後を追って髪をおろすつもりでしたが、いましばらく、と朱雀院から制されていました。
それを知った源氏は再び思いが再燃し、朧月夜に文を何度も届けます。
ある夜、末摘花の病気を理由に源氏は六条院を出発しました。
紫の上は何となく察していますが、何も言いません。

朧月夜はきっぱりと拒否しましたが、源氏は襖を開けて関係を持ってしまいます。
昔からなびきやすいのだから、と少し侮る気持ちもある源氏。
朧月夜は源氏を受けいれてしまったことを強く後悔します。

六条院に帰って、寝所に入った源氏は紫の上にことの次第をすっかり話してしまいました。
「また会いたいのだが。」と語る源氏。
「若返られて、あてのない私などついていけないほどですわ。」と静かに笑う紫の上。
その日は心に隔てを置いた紫の上の機嫌をとり続け、女三宮のもとには行かない源氏なのでした。

明石の女御(明石の姫)が懐妊して六条院に里帰りすることになり、女三宮の寝殿のそばに部屋を設けます。
紫の上は女御の世話をするときに女三宮にも会うことにして、出かけてゆきました。
源氏はその間に、また朧月夜のもとに行ってしまいます。

女三宮に会った紫の上は、自分との縁などをやさしく話します。
紫の上のやさしさに女三宮はすっかり安心し、その後はお互いに文を交わしたり、宴の席に呼び合ったりするように。
世間では、二人の仲がどうなることかと取り沙汰していましたが、
紫の上の穏やかな対応に悪い風評も消えてしまうのでした。

十月には、源氏の四十歳の祝いを紫の上が催します。
全ての準備を隅々まで行き届いて手配した紫の上に感嘆し、もし藤壺が生きていたら、
自分がこのような宴を取り仕切っていたのに、と残念に思う源氏。
十二月には秋好中宮が、年の暮れには冷泉帝から指示をうけた夕霧が祝いを盛大に行いました。

年が明けてまだ幼い身の明石の女御の出産が近づき、源氏も周囲の人々も案じ祈祷をしています。
陰陽道で占わせて方角の良い冬の町に移った女御に、祖母である尼君が近づいて明石でのことを話します。
明石で生まれたことを初めて知り、自分が並びなき者と思いあがっていたと思う女御。
尼君に気づいた明石の君は真実を知って沈んでいる様子を気の毒に思いますが、
女御は明石に行ってみたいと歌にして、三人は涙にくれるのでした。

明石の女御は無事、皇子を安産し、人々の喜びは大変なものです。
明石の入道は全ての念願がかなったので、深い山に入る決心をし、明石の君に今生の別れとなる便りを送りました。
入道が源氏との縁を結んで辛い目にあったと考えていた明石の君も、初めて父の先を見通した考えに思い至ります。
夫婦として睦まじかった尼君は入道に二度と会えないことを悲しみつつ、
最高の幸せにも出会えたことに喜びを見出すのでした。

入道のことを知った源氏は、明石の女御に改めて紫の上の恩を語り、
明石の君にも、紫の上と仲良く、出過ぎず立派に女御の世話役をしているのを感謝しねぎらいました。
紫の上のもとに帰ってゆく源氏を見送った明石の君。
紫の上でさえ女三宮の出現で源氏との仲が思うようにならないのだから、
自分の運勢は強いものなのだ、と思い至るのでした。

1 源氏と紫の上    心離れて
2 源氏と朧月夜    焼けぼっくいに火
3 源氏と明石の君   運命共同体

この帖のあたりで、紫の上は天女のよう、あまりにも出来すぎている、と評する方も多いそうです。
長年、唯一気を許せなかった明石の君とも和解を果し、なおも娘からは慕われている。
自分を越えた身分の女三宮にもやさしく接する。
内面の葛藤は女三宮の存在で顕著になり、朧月夜の復活に至っては、さすがの紫の上も源氏の再三の裏切りに、
ついに何かを悟った様子。
このころから、紫の上は源氏よりも、ひとまわりもふたまわりも大きく見えます。

そんな愛妻に不安をおぼえて「つねるなりどうなりして欲しい。そんな風には育てていませんよ」という源氏。
さらに、世間の風評を抑え、六条院の名誉を守るために意を決して女三宮と対面しているときに昔の女性のもとに行ってしまう。
世の源氏贔屓の女性も、これにはついていけないかもしれません。

さて、明石の女御が将来の帝となる皇子を生みました。
すでに磐石になっている源氏の地位よりも、明石の入道の子孫の、これからの繁栄がうかがわれる出来事です。
子別れに耐え、控えめな態度を貫いてきた明石の君の未来が、大きく花開いてゆく予感。
自分に対して、少しは心奢りしていた紫の上の運命が変転してゆくのに比べ、
並ぶもののない地位につこうとしている娘を産んだ運の強さを明石の君は噛みしめています。

一族発展のための共同作業を源氏と成し遂げた満足感。
妻として源氏に対するよりも、母として一族の支えとなることを選んだ明石の君は、
妻の道に留まる紫の上に初めて勝利した気がしたのかもしれません。

☆ちなみに出産した時、明石の女御はわずか13歳。
数えですので今なら11、12歳くらいでしょうか。東宮もほぼそのくらい。
いまなら小学六年生で親になったということになりますね。☆


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